女喰い聖書

【ナースの誇り】




寧々の職業は、「白衣の天使」もとい「ナース」でございます。ゆえに寧々は本物のナースの制服を持っているわけでありますが、未だHの時に制服を着てもらったことがありません。

一度「着ろやコラァ」と言ったら、「ナースという職業を侮辱してんかコ゛ルァ」思いっきりブチギレられたからな(涙

俺はなんか知らないけどナースとの出会いがめちゃめちゃ多いんです。地元の女友達は大半がナースだし、ナンパで釣るのもナースが多く、歴代の彼女もナースが多い(かなり余談だがウチのかーちゃんも元ナース)。みんな「着ろ」と言えば制服を着てくれてハァハァできたのですが、寧々だけは絶対着ない。

別に看護士という職業を侮辱していたわけじゃないんだけど、寧々に言わせてみれば我慢ならないほどの侮辱らしいです。

はいはい。わかりましたよ・・・チ・・・このアマァ、お高く止まりやがってと内心すこぶる面白くなかったのですが、その考えを180℃変えるある事が起きましてそれから改心したのであります。



その日、寧々とドライブをしていました。天気も良く、窓を開けると清清しい風が頬をすり抜ける。太陽の下をどこまで行きましょかぁ〜!ってな感じで楽しくおしゃべり。とってもいい雰囲気の中、車を走らせていると、交通事故現場に遭遇しました。

しかも事故りたてホヤホヤなのは見た目で感じ取れます。車と自転車の接触事故だったらしく、自転車付近に女性が倒れていて、その女性を見守っているのは、事故車の運転手であろうオヤジ。

俺は「わあ・・・オヤジ、ヤっちゃったねぇ・・・」と思うくらいで、普通に通りすぎようとすると、寧々が俺の肩をいきなり掴んで大声で叫ぶ。


「らん、車止めて!!」


まじかよ!?と、びっくりして寧々を見ると顔が険しい。女性の安否を心配しているのか、とても厳しい表情でした。さっきまで馬鹿げた話でゲラゲラ笑っていた寧々はすでにそこにはいなく、頭の中は救急救命のことしか無いよう。

車を道の脇に止めるや否や寧々は事故現場まで猛ダッシュしていく。俺もダッシュでついていきました。

間近で見る事故現場はそれはもう目に見るには無残な光景で、自転車が有り得ない角度でグシャグシャに曲がっているわ、女性はピクリとも動かずグッタリ倒れたままだし、事故車のボンネットもかなり凹んでいる。

予想以上の光景に言葉を無くして立ちすくんでる俺の横で、寧々は「落ち着け私。落ち着け私。落ち着け私・・・」と頭を両手で抑えながら呟き、ふぅ〜〜〜〜・・・と深呼吸したかと思うと、キリっとした顔立ちに変わっていく。


「救急車は!?電話した!?」


寧々が運転手に聞くと、その運転手(オヤジ)は明らかに動揺しながらも話し始めたが、誰も聞いちゃいない「事故に至るまでの経緯」を説明し始める。女性がいきなり飛び出してきたとか、法定速度は守って走っていたなど、まるで女性に責任を押し付けるかのように繰り返し話すだけで、救急車うんぬんという話がまったく出てこなかった。


「あああ!もう!!らん、救急車呼んで!!」


モゴモゴといらぬ説明をしているオヤジをシカトして俺は慌てて救急車を手配。寧々は女性の脈を計ったり必死に声をかけたりしていました。


「もしもし!?聞こえる!?聞こえますかー!?」

「大丈夫、大丈夫よ、しっかりしてぇぇ!」



俺も寧々に協力してやりたかったのですが、救急救命など教習所の授業でやったことがあるが、内容なんかまったくもって忘れてしまっている。かと言ってこのままボーっと見てるわけにもいきません。女性は寧々に任せ、俺は交通整備を担当する。

事故のあった道は交通量が多いくせに、やたらと道幅が狭いところで、事故の影響もあり後続車が渋滞していたから。

二次災害防止のため事故車の後方にコーンを置いて交通を整備し、途中通りすがりのニーチャンの協力もあって、なんとか混乱なく車の誘導に成功。


救急車が到着し、寧々は救命士に脈がどうだとか意識レベルがどうだとか専門用語で色々伝え、女性は救急車で運ばれていった。

残るは警察による現場検証だけだったので俺たちは御役御免ですよね。車に乗りその場を去りました。



−−車中−−



寧々「あとは病院に頑張ってもらうしかないね・・・それが現実。」

俺「やることはやったよ。ホント医者には頑張ってもらわねーとな。それにしてもお前の表情は鬼気迫るものがあった。普段働いてる時もあんな感じで一生懸命やってるんだろうなぁ、と思ったよ。アノ子が助かるかどうかは俺にはわからねーけど、やっぱお前らの職業は尊いものだよな・・・」

寧々「!?・・・どうしたの急に?あ〜〜あ、タダ働きはしないって思ってたのに、どうしても、ああいうのを見ると体が勝手に動くんだよねぇ・・・」

俺「職業病だ」

寧々「かもしんない(笑)」

緊張がほぐれた安堵感と、女性の安否を心配する不安感が微妙に混ざったなんとも言いいがたい表情で少し笑った寧々を見た時、「ナースの制服着て♪」なんて二度と言わなくなったのです。














そんな寧々にパン屋の制服を着てもらった時の興奮といったらもう! (いらぬオチなど書かねばよいものを・・・)