女喰い聖書・企画2006年4月4日
【寧々テキスト〜第五話〜】




■2001年4月19日・更新<続>

『駆け引き』

夕方、引越しの手伝いをひとまず終えた俺たちは寧々が行きつけの「寿司BAR」に行った。

HIPHOPが流れ、薄暗い店内にブラックライトが妖しげに光っている。カウンター席の通路を挟んで畳の居間があり4人用テーブルが4つ置かれていた。一見、どこにでもある若ェー奴ら向けのBARであるが、出す料理は寿司が中心だというのだから、なんとも、まあ、趣向が変わった店だ。俺たちは畳の席で飲んでいる。


俺「んで?料理は何頼む?」

寧々友「お腹空いたよねぇ。」

寧々「あ、ここ。寿司はマズイから。

俺「ぶ!!!寿司マズイのかよ!!寿司BARだろココ!!(笑)」

寧々「シッ!声がデケェよお前! マスターに聞こえるだろ!しかもツバ飛ばさないで!

寧々友「でもついつい来ちゃうんだよねぇ」

俺「あ、二人とも常連なんだ?たしかに店の雰囲気はイイよ♪」

寧々「でも寿司以外のメニューは美味しいからさ」

俺「ますます寿司BARの意味わかんねー(笑)」

寧々友「よく来るよー。勤務が同じだと、行く?行く?みたいな(笑)」

寧々「目で語ってるよね。”またかよ〜。…行くか♪”って(笑)それにここのマスターがカッコイイのよね♪」

寧々友「ねー♪ねー♪」


そう言って、二人はケラケラ笑いあった。その光景を見れば、どれほど仲がいいかわかる。


俺「そうかぁ??俺の方がカッコよくね?」

寧々「お前…ウチの”脳外”受診しな?(− −; 」

俺「バカ言ってんぢゃねーよ!……でも泌尿器科なら受診したことあるぜ?(笑)」

寧々「は??”ウロ”に??オメェ何やってんだよー!(笑)」


丁度、マスターが注文した料理を持ってきた。間近で見ると竹之内豊似のワイルドな感じでなるほどイイ男だ。マスターが料理をテーブルに置きながら俺に向かって言う。


マスター「盛り上がってるね。でもウチの寧々ちゃん達に手を出したらダメだよー(笑)」

寧々「は?何言ってんの?全然大丈夫だから(笑)」


そう言われて、笑いながらカウンターへ戻っていくマスター。冗談で言ったことだろうが、寧々の着替え姿を鏡越しに見てからというもの、寧々に対してモヤモヤした感情を抱いていたから、それを見抜かれたと思って一瞬、焦った。


寧々「な?カッコイイだろー?」

俺「はいはい。カッコイイ、カッコイイ…」

寧々友「……でも、らんまる君もカッコイイよ?」

………………。


一瞬、間が凍る。あまりにも流れに逆らった寧々友の言葉が、俺に対しての好意の言葉だとあからさまに示していたからだ。寧々はたじろぎ、寧々友を見つめた。


俺「…………ふ、ふふふふ…。押し寄せたね。とうとう俺に時代の波が押し寄せてきたね。どうだ!!聞いたか!!寧々ーーー!!


1つ年上の寧々をあえて呼び捨てにした。こうすることによって寧々への好意ともっと親密になりたい気持ちを表した。寧々友の気持ちは嬉しかったが、俺は寧々から好かれたい。”俺は寧々だから…”すこぶる遠まわしな方法で寧々友に伝えた。


寧々「押し寄せてないから。よかったな〜。こずえが優しくて♪…でも、らん、勘違いすんな?波はキて無い!」


”勘違いすんな” が ”お前は友達止まりだ”という風に聞こえた。


寧々友「……そういえば、何で”ウロ”に?
※ウロ…泌尿器科のこと。英語「urology」の頭文字をとって。 (ドイツ語の「ウロロギー」からきてるかもしれない)


それを察したのか、話題を変えた寧々友。


俺「…ん」

寧々「ま、だいだい想像はつくけどなー」

俺「おう!クラミジアだ。

寧々「イバるな。汗


俺は20歳の時に格闘した性病クラミジア尿道炎について話す。(参照:女喰い聖書・クラミジア


俺「――っていうわけなんよ」

寧々&寧々友「あっは!あははははははははははははははははは!!!」

俺「ちょっと!!お前ら笑い過ぎだって!マジで痛かったんだから!汗」

寧々「らん、本当にどうしようもない奴だなー(笑)」

寧々友「4年前ってことは担当の先生は誰だっけー?(笑)」

寧々「う〜〜んと、私らが新人の頃だから…アイツだよ!○○先生!」

寧々友「ああ!○○先生かー!」

寧々「あまり評判良くなかったよね…」

寧々友「………うん…」

俺「マジ?

寧々「……………」

寧々友「……………」

俺「……俺を見て!!なんで目をそらしてんだよ!!汗汗汗」

寧々「あは♪嘘、嘘(笑)」

俺「頼むよー。一瞬、超不安だったよぉぉぉぉ… まだクラミーが残ってんじゃねぇかとか不安によー あ、超不安だったことと言えばさ、ついこの間――」


寧々が働いている病院は、地元で一番”デカく”、クラミジアその他の病気にかかった時や親・友達が入院した時など、地元人は幾度となくお世話になっている有名な総合病院だ。ちなみに俺の母親も一時期、正看として働いていた。

そんなガキの頃から愛着のある総合病院に、先日、咳が止まらないのが気になって、受診してきたのだが、俺はその時に”超不安にさせてくれた出来事”に遭遇したんだ…

水面下の駆け引きで、まだギスギスした空気を変えようと思い、俺はしゃべりだす。