女喰い聖書・企画2006年4月4日
【寧々テキスト〜第十六話〜】




<第十六話> 2001年4月19日の日記リニューアル 

『日曜日』

――朝

鼻がくすぐられる感じがして重い瞼を強引に開いてみると、視界には眩しい朝日と逆光で影になっている女性の顔が入ってきた。その綺麗に整った顔立ちからして寧々であることは違いなく、細い束にした自分の髪の毛を片手に持ちつつ、くすくす笑っている。

「やっと起きた(笑)」

俺は寝ぼけた声で「やめろよ」と言って、寧々に背を向けもう一度寝ようとする。すると甘えた声で「起きろ〜」と言いながら細い束の髪の毛で今度は耳をくすぐり始め、ピクっとなった俺を見てまたくすくす笑う。

――というような、読んでいるこちら側がムズ痒くなってしまう、初夜が明けた超ラブラブの恋人達の起床の仕方をするわけでもなく、俺の方が先に目が覚め、目覚めの一服中に寧々も起き出したというのが現実ってヤツだよね。

「よう。おはよう」

それでも超ラブラブの恋人達のように、おはようのキッスはかかさない。

「ん、ん〜…今、何時?」

キッスを受けながら寝ぼけ顔で聞いてきた。その表情もとても可愛らしい。同時に朝起きてからこんな会話を交わす……ああ、こいつと一緒に朝を迎えたんだな、って幸せいっぱいな気持ちにしてくれる。俺はベッドの横に置いてあった小さな時計に目をやり、

「えっと…10時かな」

時刻を教えた。

「10時かぁ。………やば!そろそろらんの友達が荷造りの手伝いに来る!」

小ぶりだがお碗型で形のいいおっぱいを弄んでいる俺の手を払いのけ、パタパタとバスルームに向かう寧々。今日は日曜日。寧々との運命的な再開を演出してくれた俺の地元友達が引越しの手伝いにやってくる日だ。俺も荷造り要員として入っていて、他に地元友達が一人、寧々の友達こずえ、他一人、計4人が11時にはココへやってくる。

「らんも家に帰って用意してきなよ!」

スライド式の半透明ドアを1/3ほど開いた隙間から顔だけを出し、そう言うと、

「…私達のこと、まだ誰にも言わないで欲しいの。詳しい話は今夜するから、みんなで飲み終わった後、家に来て。それまでは普通の態度で…ダメ?」

濡れた髪から雫をぽたり垂らしながら哀願する寧々に「なんで??」感が俺の頭でいっぱいいっぱいになったが

「OK」

了解した。今は話し合っている時間は無い。察するに寧々になにか考えがあるようだし、ここは詳しい話ってヤツを聞きいてみるのが良さそうだと思ったからだ。こうして寧々家からチャリで5分の自宅へ帰り、シャワーを浴び、着替え、また寧々家を訪れ、昨晩のことなど何もなかったように荷造りの手伝いを担った。

こずえは心配したほど落ち込んでいる様子もなく、作業中に俺とも寧々とも普通に接していた。地元友達に土曜日の作業のことを詮索されも無難な笑みで受け流すが、この時の顔だけは、どこか悲しげで元気が無いように見え、気のせいであってほしいと願った。でも……気のせいではなく、カラ元気だったと思う。



さて。



荷造りの手伝いは夕方に終了した。みんなで飲みに出かけワイワイやった。解散した。そして再び寧々家へと一人コソコソやって来た俺。タバコを吹かしながら詳しい話って一体どんな話なのか?を不安と希望が入り混じりながら考えていた。10畳はあるだろうキッチンに置かれた薄緑のソファーに腰掛けていた寧々が沈黙を破る。

それは想像を超えた言葉だった。